社内の手順書や業務情報をまとめるために、社内ポータルやWikiを自作したいケースがあります。セルフホストなら自社で用意したPCやサーバー上に構築できますが、ソフトウェアを入れるだけでは運用できません。
必要な機能と利用範囲を整理し、ソフトウェアの導入、社内からのアクセス、権限設定、バックアップまで順番に進めます。ホームサーバー用PCの性能や運用条件から確認したい場合は、ホームサーバー用PCの選び方もあわせて確認できます。
社内ポータル・Wikiを自作する前に利用範囲と構築方法を決める

構築環境を用意する前に、社内ポータル・Wikiで何を共有し、誰が利用するのかを決めます。ここが決まれば、必要なソフトウェアとセルフホスト環境の条件を絞れます。
共有する情報と必要な機能からソフトウェアを選ぶ
社内ポータル・Wiki用のソフトウェアは、それぞれ利用できる機能が異なります。選ぶ前に整理したいのは次の5点です。
- どのような情報を掲載するか
- 誰が閲覧するか
- 誰が編集するか
- ファイルを添付するか
- 既存の認証基盤と連携するか
たとえばBookStackの公式ドキュメントでは、WYSIWYG・Markdownによる編集、検索、添付ファイル、ページテンプレート、ロールと権限の管理などの機能を確認できます。LDAP・OIDC・SAML 2.0を使った認証にも対応しています。
MediaWikiにも、閲覧や編集、アカウント作成などの権限を設定する仕組みがあります。必要な機能を先に洗い出し、その条件に合うソフトウェアを選びます。
セルフホストするPCとネットワーク環境を用意する
使用するソフトウェアが決まったら、公式のシステム要件に合わせてPCやサーバー環境を用意します。
MediaWikiのインストール要件では、Webサーバー、PHP、データベースが必要です。BookStackもPHPとデータベースを利用するWebアプリケーションなので、PCだけでなくソフトウェアを実行するための環境まで準備します。
CPUやメモリは「社内ポータルならこの性能」と一律には決められません。利用人数や扱うデータ、採用するソフトウェアによって条件が変わるため、公式の要件と実際の利用環境を照らし合わせて判断します。小規模事務所で使うサーバー自体の構成を検討する場合は、小規模事務所で使うオンプレ業務サーバーの構成も判断材料になります。
社内ポータル・Wikiをセルフホストする

環境の準備ができたら、ソフトウェアの導入、ユーザー設定、社内PCからのアクセスという順に進めます。
Wiki・社内ポータル用のソフトウェアを導入する
インストール方法はソフトウェアごとに異なります。MediaWikiの公式手順では、システム要件を満たした環境へソフトウェアを配置し、ブラウザからインストール処理を進めます。BookStackにも公式のインストール手順があります。
必要なWebアプリケーションやデータベースなどを準備し、選んだソフトウェアの手順に沿って初期セットアップを行います。別製品の手順をそのまま流用せず、使用するソフトウェアの公式情報を基準に進めます。
管理者アカウントと社内ユーザーを設定する
ソフトウェアが動作したら、実際に利用する社員のアカウントを設定します。管理者アカウントだけではなく、各利用者がログインできる状態まで整えます。
BookStackではユーザーにロールを割り当てて権限を管理できます。LDAP・OIDC・SAML 2.0などの外部認証にも対応していますが、必須ではありません。既存の社内認証基盤と連携させる場合に使う機能です。
社内PCからアクセスできることを確認する
サーバー上でWikiが動作しただけでは、社内ポータルとして利用できません。別の社内PCからブラウザで接続し、ログインとページ閲覧ができるかを見ます。
ネットワークの設定方法は、OSやルーター、サーバー構成によって変わります。IPアドレスやDNSなどの設定値を一律に決めず、実際に使うネットワーク環境に合わせます。
構築した社内ポータル・Wikiを安全に運用する

運用を始めたあとは、利用者の権限を管理しながら、保存したデータのバックアップとソフトウェアの更新を続けます。
閲覧・編集権限を設定する
利用者全員に同じ権限を与える必要はありません。閲覧だけを行う人、ページを編集する人、システムを管理する人など、役割に合わせて権限を分けます。
BookStackのRoles and Permissionsでは、ロールに対してシステム権限やコンテンツへの権限を設定できます。MediaWikiにもreadやeditなどのユーザー権限があります。
ここで気をつけたいのが、Wikiの閲覧制限と、保存されたすべてのデータへのアクセス制御は同じではない点です。MediaWikiのアクセス制限に関する公式情報では、Wikiページのread権限を制限しても、アップロードファイルへの直接アクセスまで自動的に保護されるわけではないと案内されています。保護したいデータと権限設定の範囲は、採用したソフトウェアごとに確認が必要です。
データのバックアップとソフトウェアの更新を続ける
バックアップ対象はデータベースだけとは限りません。BookStackのバックアップ手順では、データベースのほか、設定ファイル、アップロード画像、添付ファイルなども対象です。
MediaWikiのバックアップに関する公式情報でも、主要なデータはデータベースとファイルシステムの両方に存在します。どこまで保存すれば復元できるのかは、使用しているソフトウェアの公式手順に沿って判断します。
更新も運用作業の一部です。BookStackでは更新前のバックアップが案内されており、MediaWikiも本番環境ではサポート対象のバージョンを使用し、更新を続けるよう案内しています。個人や家族向けのWiki構築との違いも含めてセルフホストの使い方を確認したい場合は、自宅サーバーにWikiを構築する方法も参考にできます。
まとめ
社内ポータル・Wikiを自作するなら、共有する情報と必要な機能を整理し、条件に合うソフトウェアとセルフホスト環境を選びます。構築時はソフトウェアの導入だけで終わらせず、ユーザー設定と社内PCからのアクセスまで確かめます。
運用開始後に必要なのは、閲覧・編集権限の管理、データのバックアップ、ソフトウェアの更新です。構築から運用までを一連の作業として考えれば、社内で情報を共有するためのWiki・ポータル環境を維持できます。

